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【人物】Tiger Horse Farm の Benhur Abalos — 元内務地方政府省長官が 20 年で築いたフィリピン競馬の生産者像

バタンガス州リパの Tiger Horse Farm を運営する Benhur Abalos Jr. は、マンダルヨン市長を 5 期務めて 2022〜2024 年に内務地方政府省(DILG)長官を歴任した政治家であり、弁護士・国連公共行政賞受賞者でもある。本業の傍ら、2004 年から競馬に参入し、2012 年 Hagdang Bato で 11 年ぶりのフィリピン三冠、2024 年 Batang Manda で第 52 回 Presidential Gold Cup を制するなど、フィリピン競馬のトップ生産者の 1 つを 20 年で築き上げた。新拠点パドレガルシアの 2026 年シーズンで Primavera と Gentle Dance が同じ週末に勝ち上げているのも、この縦軸の現役の延長線上にある。

バタンガス州リパの Tiger Horse Farm を運営する Benhur Abalos Jr. は、フィリピンを代表する競走馬生産者の 1 人でありながら、本業はマンダルヨン市長を 5 期、2022〜2024 年に内務地方政府省(DILG)長官を務めた政治家・弁護士でもある。
2004 年に競馬に参入し、2012 年 Hagdang Bato で 11 年ぶりのフィリピン三冠を達成、2024 年 Batang Manda で第 52 回 Presidential Gold Cup を制覇、そして 2026 年シーズンに入っても新拠点パドレガルシアで Primavera と Gentle Dance を同じ週末に勝ち上げている。
20 年で築いた 「生産者としての縦軸」 は、フィリピン競馬の旧 2 競馬場閉鎖と新拠点開設という大きな転換を跨いで継続しており、フィリピン競馬を読み解く重要な観測点になっている。

本業の輪郭 — 弁護士・政治家・DILG 長官

Wikipedia の経歴(Benhur Abalos — Wikipedia)と現地報道によれば、Benhur Abalos のキャリアは次のように整理できる。

期間役職
1987Ateneo de Manila 法学部卒、フィリピン司法試験合格
1995〜1998マンダルヨン市第 1 区市議(法務・治安委員会委員長)
1998〜(複数期)マンダルヨン市長(父 Benjamin Abalos の後継)
2004マンダルヨン市選出の下院議員(一期、Neptali Gonzales II と職務交換)
2007 / 2010 / 2013マンダルヨン市長として再選を重ねる
2015国連公共行政賞(Project TEACH。教育・統治の好例として国連が表彰)
2021メトロマニラ開発庁(MMDA)議長
2022〜2024内務地方政府省(DILG)長官(マルコス内閣)

DILG 長官時代には、1.4 トン(推定 96.8 億ペソ相当)の薬物押収というフィリピン史上最大規模の摘発を組織したことでも知られる。妻 Carmelita “Menchie” Aguilar は現マンダルヨン市副市長で、息子の Benjamin III も同市議員と、家族で公職を担う 政治家家系の中心人物にあたる。

本業がここまで重い人物が、20 年にわたって競走馬生産を 継続しているのは、フィリピン競馬を支える馬主・生産者層の 資本厚みの厚さを示す事例として読める。

競馬への参入 — 2004 年から Hagdang Bato まで

Wikipedia によれば、Abalos は 2004 年から競馬に参入した。マンダルヨン市長として 2 期目に入った頃にあたる。生産拠点はバタンガス州リパの Tiger Horse FarmHagdang Bato — Wikipedia)で、2012 年時点で 12 頭の繁殖牝馬を擁したと報じられている。

参入から 8 年で出した名馬が Hagdang Bato(2009 年生、父 Quaker Ridge、母 Fire Down Under)だ。Wikipedia と Spin.ph の報道によれば、その戦績は次のとおり。

  • 11 戦無敗
  • 2012 年フィリピン三冠(San Lazaro Leisure Park)— 2001 年 Silver Story 以来 11 年ぶりの達成馬
  • 第 40 回 Presidential Gold Cup 制覇(賞金 PHP 400 万)
  • 重賞 10 勝、生涯獲得賞金約 PHP 1,500 万
  • 2012 年フィリピン Horse of the Year

参考リンク: Philstar「Hagdang Bato first TC winner in 11 years」(2012 年 7 月 16 日付) / Spin.ph「Triple Crown winner Hagdang Bato runs away with Horse of Year plum」

Hagdang Bato は当時フィリピン三冠の 12 頭目達成馬として歴史に残る(参考: Isa Bell 記事 の三冠達成馬リスト)。Triple Crown は 2001 年から 11 年間達成馬が出ておらず、フィリピン競馬の活性化を象徴する勝利として現地で受け止められた。

Tiger Horse Farm 産駒の縦軸(2012〜2026)

2012 年の Hagdang Bato 以降も、Tiger Horse Farm は 世代を跨いで重賞勝ち馬を出し続けている。Wikipedia と現地報道から拾える代表産駒・所有馬を時系列で並べる。

馬名主な実績
2012Hagdang Batoフィリピン三冠(11 年ぶり)・Presidential Gold Cup・Horse of the Year・11 戦無敗
2015Malayaフィリピン短距離王者(第 18 回 Gintong Lahi Awards)
2016Pinagtipunan重賞勝ち馬(PhilTOBO 表彰)
2017The Glide重賞勝ち馬
2023Parisian Life / Open Billing / Prime Billing重賞勝ち馬
2024Batang Manda第 52 回 Presidential Gold Cup(PHP 720 万・3 歳馬 longshot として制覇)
2026Primavera / Gentle Dance同じ週末(5/24-25)にパドレガルシア新競馬場で重賞 1 勝ずつ(Primavera 記事

注目したいのは 2020 年代に入っても勢いが衰えていない点だ。Hagdang Bato が 2012 年に San Lazaro で三冠を達成した時点と、2024 年 Batang Manda が新拠点パドレガルシアで Presidential Gold Cup を制した時点では、フィリピン競馬の 開催インフラそのものが入れ替わっているIsa Bell 記事 参照: 2020 Santa Ana 閉鎖、2022 San Lazaro 閉鎖、2025 パドレガルシア開設)。
旧拠点・旧運営体制で勝った生産者が新拠点でも勝ち続けているのは、生産設備・繁殖牝馬の 資産価値が拠点に縛られていないことの証左で、Tiger Horse Farm が単なるトップ生産者の 1 つというより、フィリピン競馬の世代継承を象徴する存在と読むのが筋に近い。

2004 競馬参入 マンダルヨン市長 2 期目
2012 Hagdang Bato 三冠 11 年ぶり達成・Horse of the Year
2015 Malaya 短距離王者 Breeder-Owner of the Year
2020-2022 旧 2 競馬場閉鎖期 Santa Ana / San Lazaro 終焉
2024 Batang Manda Presidential Gold Cup 新拠点パドレガルシアで PHP 720 万制覇
2026 Primavera / Gentle Dance 同週末に重賞 2 勝、縦軸現役
図:Tiger Horse Farm 20 年の縦軸

フィリピン生産者のランキング上の位置

2021 年のフィリピン生産者勝ち星ランキング(Philstar「Esguerra Farms tops breeders’ honor roll for 2021」)を見ると、Tiger Horse Farm の Abalos は 46 勝で Top 10 圏内(4 位タイ)に位置している。

順位生産者2021 年勝ち星
1Esguerra Farms(Hermie Esguerra、リパ 70 ha)153
2Joseph Dyhengco119
3Mayor Leonardo “Sandy” Javier Jr.94
4Antonio “Tony” Tan91
5Benhur Abalos Jr.(Tiger Horse Farm)46
5Jade Brothers Farm46
7SC Stockfarm45
7Aristeo “Putch” Puyat45
9Wilbert Tan41
10James Albert Dichaves40

ランキング 1 位の Esguerra Farms(153 勝)には及ばないが、トップ生産者の中堅安定層にいる。Esguerra Farms が「物量」のリーディング生産者だとすれば、Tiger Horse Farm は「三冠級の大物を周期的に出す」スタイルで、ランキング順位より 重賞での存在感が際立つタイプの生産者と整理できる。

日本のファンが知る馬主像と並べる

Benhur Abalos のプロファイルは、日本のファンにとっては 本業を持ったまま長期に競走馬投資を続ける馬主像として理解しやすい。

本業競走馬投資の代表例
日本藤田晋サイバーエージェント代表フォーエバーヤング(2024 ケンタッキーダービー 3 着、サウジカップ連覇)
日本前澤友作ZOZO 創業者・宇宙旅行者海外重賞への参入歴あり
フィリピンBenhur Abalos弁護士・政治家・元 DILG 長官Hagdang Bato(2012 三冠)/ Batang Manda(2024 PGC)

藤田晋のフォーエバーヤング所有が日本のダート競馬への投資の象徴だとすれば、Abalos の Tiger Horse Farm はフィリピン競馬の 国産生産における長期投資の象徴と並べられる。藤田の馬は 国際路線(米国・サウジ・ドバイ)で結果を出しているのに対し、Abalos の馬は 国内路線(三冠・Presidential Gold Cup)で勝ち続けてきた点が違いだが、本業を持ちながら 10 年単位で競馬に資本と関心を投じている 馬主・生産者像の構造は近い。

ph-racing がこれまで触れてきた Sevilla 家(Sevilla 双子記事)が「世代を跨ぐ家族経営」だとすれば、Abalos は「公職と並行する個人経営」で、いずれもフィリピン競馬の馬主・生産者層に 多様な背景があることを示す事例になる。

残された注意点と留保

  • Tiger Horse Farm の現在の規模は公開ベースでは確認できない。2012 年時点の「12 頭の繁殖牝馬」以降の増減情報は本記事執筆時点で公開資料に出ていない ※
  • Abalos が DILG 長官在任中(2022〜2024)に Tiger Horse Farm の運営をどう管理していたかは公開資料からは確認できない。本業との利益相反の有無も同様 ※。本記事は公開情報の範囲で人物・生産者像を整理しており、政治・コンプライアンス面の評価は扱わない
  • Batang Manda の Presidential Gold Cup 制覇(2024 年 12 月 8 日、PHP 720 万)は現地報道から確認できるが、本記事のために独自取材したものではない。一次情報は PJC 公式 / Philstar 等の発信に依拠
  • 2025 年 “Best Horse Owner” 受賞Philstar「Abalos unanimous choice as Best Horse Owner」(2025 年 2 月 5 日付) で報じられているが、表彰の主催団体・受賞基準の詳細は別途確認余地あり
  • 賭事への含意は扱わない: 本記事は生産者・人物プロファイルで、馬券買い目や予想は扱わない

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まとめ

Benhur Abalos Jr. が Tiger Horse Farm を通じて 20 年にわたって築いてきた 生産者としての縦軸は、フィリピン競馬の中核を支える資本層の厚みを示す重要な事例になる。
2012 年 Hagdang Bato の 11 年ぶり三冠から、2024 年 Batang Manda の Presidential Gold Cup、そして 2026 年 Primavera / Gentle Dance の同週末重賞 2 勝まで、フィリピン競馬の開催インフラが旧 2 競馬場 → 新拠点と入れ替わる転換期を跨いで勝ち続けている点に、生産設備の資産価値と継承力が表れている。
本サイトは、Tiger Horse Farm を含む主要生産者の縦軸を一次情報に基づいて記録し、新拠点パドレガルシアでの今後の勝ち上げを継続観測していく。


Sources

よくある質問

Benhur Abalos とは誰ですか?

フィリピンの弁護士・政治家で、バタンガス州リパの Tiger Horse Farm を運営する競走馬生産者です。1962 年生まれ。マンダルヨン市長を計 5 期、メトロマニラ開発庁(MMDA)議長、2022〜2024 年に内務地方政府省(DILG)長官を歴任。2004 年から競馬に参入し、2012 年に Hagdang Bato で 11 年ぶりのフィリピン三冠を達成、2024 年には Batang Manda で第 52 回 Presidential Gold Cup を制覇しています。

Tiger Horse Farm の規模はどれくらいですか?

バタンガス州リパの牧場で、2012 年時点で 12 頭の繁殖牝馬を擁すると報じられています(その後の規模は公開ベースでは確認できず)。2021 年のフィリピン生産者勝ち星ランキングでは 46 勝で Top 10 に入っており、リーディング生産者の Esguerra Farms(153 勝)には及ばないものの、安定してトップ層に位置しています。

なぜ「縦軸」と呼ぶのですか?

2004 年の競馬参入から 20 年で、Hagdang Bato(2012 三冠・11 戦無敗)、Malaya(2015 短距離王者)、Pinagtipunan(2016)、The Glide(2017)、Parisian Life / Open Billing / Prime Billing(2023)、Batang Manda(2024 Presidential Gold Cup)、そして 2026 年の Primavera / Gentle Dance まで、世代を跨いで重賞勝ち馬を出し続けている点が「縦軸」と呼べる根拠です。フィリピン競馬の旧 2 競馬場閉鎖(2020 Santa Ana / 2022 San Lazaro)と新拠点パドレガルシア開設をまたいで勝ち続けているのも特筆点です。

日本でいうと誰に近いですか?

本業の経営・公職と並行して競走馬への投資を続けている点では、ダート王フォーエバーヤングの馬主・藤田晋(サイバーエージェント代表)に近いプロファイルです。ただし Abalos は公職(市長・DILG 長官)が長く、Tiger Horse Farm のオペレーション自体は専門家に委ねている設計と推測されます ※。

出所は?

経歴情報は Wikipedia「Benhur Abalos」、Tiger Horse Farm の馬関連は Wikipedia「Hagdang Bato」、Spin.ph、Philstar の各報道、Philippine Jockey Club Facebook 投稿に基づきます。本記事は要約と Cecil による論評で、人物批評ではありません。