Philippine Racing Watch

統計と日本競馬の文脈で、転換期を迎えたフィリピン競馬を日英で解説する。国際的な視点でアジア新興競馬の魅力を伝える。

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【血統】Sakima — Curlin 直仔の米国無名馬がフィリピンで 5 戦無敗、種牡馬としても Gomezian / Radio Bell を出した「衝動買い」が花開いた物語

Sakima(USA、2012 年生、父 Curlin)は、SC Stockfarm の Oliver "Jojo" Velasquez が Fasig-Tipton セールで「2〜3 勝して種牡馬入りできれば」程度の期待値で衝動買いした米国馬だ。フィリピンに輸入された後は **5 戦無敗**で 2017 年 2 月の Henry Cojuangco Cup を制し、2018 年から種牡馬入り。代表産駒に **Gomezian**(2021 2YO Champion、2022 Lakambini Stakes 勝ち)と **Radio Bell**(2022 Triple Crown Leg 3 優勝)を出している。米国 GI 級が新興市場で再評価された He's Had Enough とは別の構造で、「米国無名馬がフィリピンで爆発的に開花した」もう 1 つのパターンを示している。

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【厩舎】Bell Racing 厩舎の繁殖戦略 — 複数の優秀繁殖牝馬軸 × 米国系種牡馬で世代をまたぐ勝率を維持する設計

パドレガルシア新競馬場で Isa Bell(2026 Triple Crown 第 1 戦勝ち・新記録)、Midnight Bell(3 歳 1650m レコード保持)、Bea Bell(2023 Philracom 2YO Maiden Stakes 勝ち)、Rapido(2026 Philracom-PCSO Locally Bred Stakes 第 1 戦勝ち)等を出し続けている Bell Racing 厩舎は、繁殖戦略として「Dr. Fager's Gal / Tocqueville / Footsteps の複数優秀繁殖牝馬を軸に、それぞれを He's Had Enough / Union Bell / Union Rags などの異なる種牡馬と配合する再現性重視の設計」を取っている。Isa Bell と Midnight Bell が母 Dr. Fager's Gal を共有する半姉妹である点に、その設計が最もよく表れている。

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【血統】He's Had Enough — フィリピンで成功した米国 GI 級、日本ファンには「ラビットランの兄」「アサクサゲンキの兄」

パドレガルシア新競馬場で Bell Racing 厩舎の主力種牡馬として複数の重賞勝ち馬を出している He's Had Enough(米国産、2010 年生、父 Tapit)は、現役時代に 2012 年ブリーダーズカップ・ジュベナイル GI を Shanghai Bobby に 2 着、2013 年ロバート B. ルイス記念 GII で 3 着した米国の重賞級競走馬。日本のファンには、全妹がローズステークス GII 勝ち馬ラビットラン、半弟が小倉 2 歳ステークスと障害重賞 2 勝のアサクサゲンキ、という馴染みのある名前と地続きに繋がっている。米国で GI を勝ちきれずに引退した馬が、新興市場フィリピンで種牡馬として花開いた物語として読める。

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【人物】Tiger Horse Farm の Benhur Abalos — 元内務地方政府省長官が 20 年で築いたフィリピン競馬の生産者像

バタンガス州リパの Tiger Horse Farm を運営する Benhur Abalos Jr. は、マンダルヨン市長を 5 期務めて 2022〜2024 年に内務地方政府省(DILG)長官を歴任した政治家であり、弁護士・国連公共行政賞受賞者でもある。本業の傍ら、2004 年から競馬に参入し、2012 年 Hagdang Bato で 11 年ぶりのフィリピン三冠、2024 年 Batang Manda で第 52 回 Presidential Gold Cup を制するなど、フィリピン競馬のトップ生産者の 1 つを 20 年で築き上げた。新拠点パドレガルシアの 2026 年シーズンで Primavera と Gentle Dance が同じ週末に勝ち上げているのも、この縦軸の現役の延長線上にある。

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【現地ニュース】Primavera が Padre Garcia 3 連勝・レーティング +17 — 新拠点に積み上がる「馬場適性データ」と Tiger Horse Farm の縦軸

5 歳牝馬 Primavera がパドレガルシア新競馬場の Chairman's Cup II(2000m)を 5 馬身差で圧勝、初出走の 7 着大敗から 3 連勝で Philracom レーティングを 48 → 65 まで一気に 17 ポイント引き上げた。生産は Tiger Horse Farm の Benhur Abalos Jr.(2012 三冠馬 Hagdang Bato の生産者)。Primavera・Circus Crowd・Isa Bell といった「同コースで複数勝ち上げる馬」が短期間に揃った事実は、新拠点パドレガルシア新競馬場の馬場が予測可能性を獲得し始めた初期データとして読める。

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【現地ニュース】Sevilla 双子姉妹の所有馬が馬連ワンツー — 日本拠点の馬主 Bianca と、フィリピン競馬のもう 1 つの「日本との接点」

パドレガルシア新競馬場の Philracom Chairman's Cup で、Sevilla 家の双子姉妹 Bianca と Tisha の所有馬(Circus Crowd と Jungkook)が馬連(forecast / quinella)までワンツーを決めた。ph-racing が注目したいのは結果よりも、姉 Bianca が日本を拠点にフィリピン競馬を所有・遠隔観戦している事実のほうだ。ウマ娘のコスプレ来場が描いた「コンテンツ → フィリピン競馬場」の流れに対し、Sevilla 姉妹は「在外馬主 → フィリピン競馬」というもう 1 つの方向の橋渡しを示している。

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【現地ニュース】Isa Bell が Philracom-PCSO Triple Crown 開幕戦快勝 — コロナと旧2競馬場の閉鎖を越え、5 年ぶり 3 冠挑戦が動き出す

Bell Racing の無敗牝馬 Isa Bell が、Philracom-PCSO Triple Crown 第1戦(1650m)を 6.5 馬身差で快勝し、3 歳のレコードまで更新した。注目したいのは結果よりも、2020 年 Heneral Kalentong 以降は新型コロナと San Lazaro / Santa Ana 旧 2 競馬場の連鎖閉鎖でフィリピン 3 冠の体系自体が組めなかったこと、その挑戦が新拠点パドレガルシア新競馬場の開設で 5 年ぶりに再起動した、という構造のほうだ。距離・歴史・賞金の3軸で日米クラシック路線と並べつつ、この再起動の意味を読み解く。

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【分析】フィリピンの騎手はなぜ「実力主義」で見るべきか — 5ペソの馬曳きから這い上がる騎乗市場

フィリピン競馬の騎手層を見るべき理由は、その厚さが「叩き上げの実力主義」から生まれている点にある。John Alvin Guce の25%超という勝率、5ペソの馬曳きから始めた Jeff Zarate の30%超の勝率が示すとおり、日本ファンが使う「騎手で買う」視点がこの市場で強く効く。一次情報と国際比較がその根拠になる。

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【現地ニュース】パドレガルシア新競馬場 開設の意味 — フィリピン競馬が「3点同時」で揃えた稀少さ

2025年11月、Philippine Jockey Club がパドレガルシア新競馬場を開いた。注目すべきは新しい競馬場そのものではなく、「制度・施設・血統」の3つを一度に揃えた稀少さである。新興競馬の通常の立ち上がり順序と国際比較しながら、なぜこの「同時性」が観測価値を持つのかを日本競馬の視点で考える。

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【現地ニュース】フィリピンに来た名血たち — 記録的な血統流入は「器が需要を先取りした賭け」だ

パドレガルシア新競馬場の開設に伴い、米・豪の一線級種牡馬の産駒がフィリピンへ記録的な規模で流入している。2025年豪州80頭、2026年81頭という輸送、カリフォルニアクローム の半弟の勝利まで、これを単なる頭数の話ではなく「器が需要を先取りした賭け」として読み解く。フィリピンはいま国際血統の実験場になりつつある。

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【分析】アジア競馬の「眠れる巨人」? — フィリピンは「供給先行型」の新興市場だ

パドレガルシア新競馬場の開設を機に、フィリピンへ競走馬が大量流入している。「アジアの眠れる巨人」という見方は誇張だが、フィリピンは施設と血統が需要に先行する「供給先行型の新興市場」という明確な類型だ。日本・香港の需要主導モデルとは立ち上がりの順序が逆なので、賞金やレースグレードだけで見ると小さく映りやすい。伸びしろと速さという別の物差しで読み解く。

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【現地ニュース】競走馬の故障は9割が既往症 — パドレガルシア新競馬場が示した「透明性」という資本誘致条件

パドレガルシア新競馬場での故障発生を受け、世界的な馬場の専門家 Steve Wood が馬場を検査・承認し、検査結果を公開した。「壊滅的な故障の9割超は既往症」という指摘を起点に、新興競馬市場の信頼は馬場の数値ではなく透明性で測られる、という視点から競走馬への投資と国際信用の前提条件を読み解く。

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【現地ニュース】ウマ娘のコスプレイヤーがフィリピンの競馬場に現れた

日本のゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』のキャラクターに扮したコスプレイヤーが、フィリピンのパドレガルシア新競馬場に集まった。日本で競馬ファンを増やしたウマ娘の人気が海外の競馬場にも届いた出来事を、馬や施設は資金でそろっても、ファンはお金では買えないという視点から読み解く。